腰痛アスリートのための高強度トレーニング


●1、腰痛症のリスクを理解する

腰痛の診断結果に基づいて、高強度トレーニングの可、不可があります。

原則的にはいずれの場合も、定期的要経過観察で3~6ヶ月毎の検査診断が必要です。

腰椎への負担が非常に大きい種目は、フリーウエイト系で、スクワット、ランジ、デットリフトなどですが、ショルダープレス、ベンチプレスも、腰椎に多大な負担がかかります。特に、腰椎が反った前弯状態で、垂直方向に腰椎が潰れるような負荷がかかる種目です。



患部への負担を軽減するためには、少しでも安定性が高く、腰椎の前弯が少なく、腰椎への垂直方向荷重が少ない種目を選択すべきです。

危険度高、フリーウエイト、スクワット、ランジ

危険度中、スミスマシン、スクワット、ランジ

危険度低、レッグプレス


●2、アイソレートからユニットへ

負担の大きい高強度ユニット(スクワットやランジ)で、追い込む前に、負担がかからないアイソレート種目で、ユニットの構成筋群へ負荷刺激を与えて事前疲労させ、高強度ユニットの絶対重量を軽減する方法もあります。

例、臀筋群のアブダクショントレーニング→レッグプレス

この場合、競技動作特性と負荷に適応した、トレーニング動作で、適切な負荷を設定する必要があります。高重量のスクワットよりも、危険度の低い、レッグプレスで高重量トレーニングを行ないます。さらに、下肢全体の筋群に予備疲労を与えてから、スクワットやレッグプレスを行ないます。大事なことは、患部への負担を最小限にしつつ、競技パフォーマンスを向上させることなので、リスクの高いトレーニング方法は避けるべきです。


スポーツパフォーマンスの向上を目指すような

高強度プログラムの場合ほど、超回復に要する休養時間や栄養の摂取が重要になります。


●3、若年性腰椎分離症への注意

腰椎の椎体の骨折です。(詳細は、腰部脊柱管狭窄症をご参照下さい。)

小中高校生の時期に生じる、腰椎の椎体部分が、片側又は両側骨折し分離する症状です。

高校生までに、早期発見することができて、運動中止と24時間コルセット着用治療法によって、骨折部分の骨癒合が期待できます。この時期を逃すと骨癒合はしにくく、将来に渡って「腰椎分離症や腰椎滑り症」を患う危険性が高まります。

特にスポーツ少年少女が、この小中高校生の時期に、腰痛を訴えた場合には、速やかに、整形外科病院での検査と診断を受けて下さい。整骨院や治療院ではだめなのです。

早期発見と安静固定治療が上手くいけば、競技に充分復帰できる可能性がありますが、発見が遅れると慢性的な腰椎症になり、競技も休みがちになってしまいます。