ストレッチング
【stretching:筋を伸ばすこと】
筋は、弾力があり、柔らかく伸びて、力強く縮むことが出来る性能が大切です。マッサージや、カイロ、整体を受けただけでは、筋を伸ばすことは出来ません。ストレッチングが必要です。筋の柔軟性を改善するための近道はありません。最も大切なことは、時間をかけることです。時間をかけない限り、筋は緩んで伸びてはきません。ストレッチは、痛くても無理矢理、反動をつけながら行う、昔ながらの柔軟体操とは全く違います。
筋を伸ばす
血行を促進する
筋の緊張や疲労を解消する
関節の可動域(ROM)を拡大させる
心身のリラックス
【ストレッチングの基本】
*心地よく筋が伸びるところで静止する
*痛みが出るまで伸ばし過ぎない
*呼吸を止めず、息を吐く時に力を抜く
*まず、反動を付けないストレッチをマスターする
*伸ばす、緩める、を丁寧に繰り返す
*フォームよりも、肝心の筋が伸びているかどうかが重要
*30~60秒間保持、これを2~3回、左右別々に、
ゆったりとじっくり繰り返す
柔軟性は、優れた筋の最も大切な要素です。筋は、ほっておけば縮んで退化します。これを「廃用性萎縮」と言います。 柔軟性の低下は、運動不足、老化現象を現します。硬く縮んだ筋の柔軟性向上のためには、ストレッチングをしなければなりません。ストレッチをして伸ばさない限り、柔軟性は向上しません。上記写真のようなストレッチを行うとき、膝の裏側が伸びている感じがする場合、 肝心の筋は充分伸びてはいません。 これは、あまりにも筋が硬く縮み過ぎている場合におこりやすくこの筋の「筋力」も大変弱っている場合が多く見られます。
ストレッチは、筋を伸ばすことが最大の目的ですから、タイトな筋はより柔らかく、ルーズな筋は伸ばし過ぎないようにします。ルーズな筋を伸ばし過ぎると「抑制」され筋力が低下します。ルーズな筋はストレッチ感を感じない場合があります。またタイトな筋も筋腹を意識出来ず、腱が伸びる感じがします。腱が伸ばされ過ぎると筋力はさらに低下してしまいます。すると「タイト」で「弱い」筋になってしまいます。ストレッチにはいくつかの種類がありますが、トータル・バランス・コンディショニングでは次の3タイプを状況によって使い分けることが重要です。
*スタティック・ストレッチ(一定の筋長でホールドする。抑制効果が高い)
*バリスティック・ストレッチ(反動をつけて伸ばす。伸張反射を起す)
*アクティブ・ストレッチ(呼吸に合わせ、ゆったりと伸ばし、ホールドし、少し戻して再び伸ばす)
・より抑制をかけ、過敏性を低下させ伸ばしたい筋へのアプローチ→スタティック
・ルーズな筋に、伸張反射によってあえて緊張感を促し、
コントラクト刺激と共により活性化を促したい時のアプローチ→バリスティック
・タイトで弱い筋を、活性化させ弾力性と筋力を向上させるためのアプローチ→アクティブ
これら主に3つのタイプをコントラクトと併用し、主働筋&拮抗筋双方にPNF的にパッケージで用いることでエクササイズ効果を高めます。
ストレッチでは、ターゲットとなる筋に対しても目的に応じて、ROM(関節の可動域)、フォーム、ポジション、荷重・非荷重などのバリエーションを変える事で様々なストレッチを行い、ストレッチを日常的に習慣化するためには、行える状況・シーンによって使い分ける必要があります。
例、一つの筋に3つのストレッチ
ストレッチしてもしても柔らかくならないのは何故か?
ところで、ストレッチを毎日行っているはずなのに、柔軟にならないと言う場合があります。その理由には以下のことが考えられます。
1)ストレッチの方法が適切かどうか?
フォーム・ポジション・ROM・強さは適切か
筋腹がちゃんと伸びているかどうか(腱が伸びていないか)
タイミングや時間は適切か(目標設定)
2)タイトになる理由がある
代償性のオーバーユースなどその筋に負担をかける筋が他にある場合
日々収縮する・緊張する刺激が加わりタイトになります。その時間は、ストレッチを仮に1時間行って も12時間以上「緊張と収縮」状態にあれば容易に柔らかくはなりません。
>負担を取り除く他の部位改善エクササイズが必須でこれを改善しなければ柔らかくすることは無理です。
その筋自体が弱い場合
>ストレッチと併行して、筋力向上が必須
【Athlete Muscle】
アスリートにとって、筋の柔軟性は、筋のコンディションをチェックする大変重要で便利な方法です。強いパワーを発揮でき、長い時間動くことの出来るような、アスリートの筋は、普通の人よりも硬く縮みタイトになりやすいのです。
柔らかい筋は、一流選手の条件です。練習量が増えたり、激しくなれば、当然筋も酷使されますから、タイトになりやすいので練習の量や激しさに応じて、ストレッチの時間もふやすことが絶対に必要です。上記写真のハムストリングスのストレッチを、これまで、15分行っていたとしたら、30分、45分、と時間を伸ばすことが必要です。
ストレッチのバリエーションや方法の具体例は
「トータル・バランス・コンディショニング」をお読み下さい。
山海堂からだ読本シリーズ
医学博士 安藤邦彦先生監修
佐藤拓矢著
080-6559-6690